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QYSEAがOceanology International Londonにて世界初の「デュアルDVL」搭載ROVを発表

2026-03-24

 

2026年3月、海洋科学技術分野で世界最大規模かつ最も影響力のある展示会「Oceanology International (OI) London 2026」がロンドンのExCeL展覧会センターで開催されました。世界80カ国から500社以上のリーディングカンパニーが集結する本イベントは、海洋産業の「オリンピック」と称され、深海潜水艇から衛星リモートセンシング、インテリジェント水中ロボットに至るまで、最先端の技術革新が披露されました。海洋エネルギーのグローバルな構造転換が進む中、ここでの技術的ブレイクスルーは、何千マイルも離れた海底インフラの安全性と運用の効率性に決定的な影響を与えます。

 

 

会場内のQYSEAパビリオンは、海洋エンジニアリングの専門家やエネルギーサービスプロバイダーで終日賑わいを見せました。議論の焦点となったのは、「軽量型水中ドローン(ROV)がいかにして高速潮流の中で高精度な空間ホバリング(定点保持)を維持するか」、そして「U-INS慣性航法アルゴリズムの現場への実践的応用」という、海洋点検における長年の最重要課題でした。

 

 

 

同期間中、ロンドンのロイヤル・ビクトリア・ドック(Royal Victoria Dock)では、QYSEAによる水中実演デモンストレーションが実施されました。「FIFISH X1」は、激しい水中潮流の干渉を再現した疑似「綱引き」テストにおいて、あたかも水中に打ち込まれた「打たれ強き釘」のように完全な静止状態を維持しました。このデモを通じて、U-INS慣性航法による自律経路計画、非破壊検査(NDT)、および多次元制御性能が証明されました。変化の激しい海洋環境において、「確実性(Certainty)」こそが最大の競合優位性となります。

 

 

 


I. コア技術:世界初の「デュアルDVL」融合ソリューション

海洋点検・水中調査における長年のペインポイントは、海底の特徴不足や複雑な乱流によって生じる「空間位置の漂流(ドリフト)」でした。この課題を根本から解決するため、QYSEAは前方照射型「Q-DVL」と下方照射型「Q-DVL」を統合した「デュアルDVL融合ソリューション」をFIFISH X1に初搭載しました。

ドップラー効果に基づく本システムは、ボトムトラッキング(海底追尾)とサーフェストラッキング(表面追尾)の双方を活用することで、二重のステーションロック(空間ホバリング保証)を実現します。環境条件によって下方測定が遮断された場合でも、システムが自動的に前方照射型トラッキングへ切り替わり、潮流に対抗して位置を保持します。これにより、垂直な海洋構造物から複雑な海底地形に至るまで、全次元をカバーする閉ループ空間測位システムが初めて完成しました。

 

1. 前方照射型Q-DVL:垂直構造物のための「位置固定アンカー」
洋上風力発電のモノパイルや石油・ガスプラットフォームのジャケット構造物を精密点検する際、水中ロボットは垂直な金属壁面に対して長時間対向し続ける必要があります。FIFISH X1は、強烈な横揺れや横押し潮流の中でも動的補正を行い、「垂直壁面ロック(Vertical Wall Locking)」を実現します。これにより、非破壊検査(NDT)やカソード防食(CP)測定用のプローブを測定点へ安定して接触させ、位置ずれによるデータの誤差を完全に排除します。

 

2. 下方照射型Q-DVL:三次元空間の絶対アンカー
浅海域域や標準的な水中調査において、下方DVLは海底に対する絶対座標系を提供します。これにより、FIFISH X1は4ノット(約2m/s)の高速潮流の中でも三次元座標をロックし、非常に優れたステーションロック(定点保持)性能を発揮します。


 

II. AI駆動型標準化ワークフロー:迅速デプロイから高精度計測まで

全次元の測位データに支えられたFIFISH X1は、手動操作の機体から「プロセス駆動型のインテリジェントワークフロー」へと進化を遂げました。

·   迅速な機動性(Mobilization): 本体重量はわずか30kg。民間航空機での預け入れ荷物輸送、一般的な作業車、またはヘリコプターでの移動に対応します。

·   母船不要」の柔軟なデプロイ: 高額なDP(自動船位保持)機能付き大型作業船や重機を必要としません。2名体制の作業チームにより、小型の作業員輸送船(CTV)から即座に投入可能で、動員コストを60%以上削減します。

·  U-INS航法と自動経路計画: Q-DVLの計測データとU-INS慣性航法を統合することで、リアルタイムで機体の姿勢誤差を自動修正します。AIシステムが設定されたタスクに基づき、最適な水中点検・撮影ルートを自動計算・実行します。

·   インテリジェント・センサー切り替えと距離保持: 構造物に接近すると、複雑な形状によるエコー干渉を避けるため、自動的に前方Q-DVLモードへ移行します。距離ロック機能により、波浪によるうねりの中でも点検面から一定の距離を保ち続けます。

·   4Kデュアルカメラシステム: 近接目視検査(CVI)に必要な死角のない高解像度映像記録を提供すると同時に、周りの構造物全体の状況を把握することが可能です。

 


III. 産業別適用事例(ユースケース):商用価値の再定義

事例1:海洋石油・ガスプラットフォーム「ジャケット構造」の高精度点検

·   課題: ジャケットの節点(ノード)は複雑な形状を持ち、海洋生物の付着も多く見られます。狭小スペースでは従来の大型ROVや熟練パイロットでなければ姿勢維持が難しく、高精度な非破壊検査(NDT)の実施が極めて困難でした。

·   ソリューション: FIFISH X1は前方Q-DVLを活用し、ミリメートル単位での距離制御を実現。デモストレーションでは、超音波板厚計(UT)プローブをAIアシスト機能によって計測点へ正確かつ垂直に押し当て続けることに成功しました。

·   提供価値: 大型ワーククラスROVの軽量な代替手段として機能し、高リスクなNDT作業を標準化。プロジェクトのデータ合格率を100%近くまで高めます。

 

 

事例2:洋上風力発電モノパイル — 北海の激流を攻略

·   課題: モノパイル周辺の高速な潮流は軽量水中ドローンを容易に流してしまい、作業の中断や「天候待ち(Weather Standby)」による1日あたり数百万円単位の損害をもたらします。

·   ソリューション: 下方DVLが絶対座標をロックし、前方DVLが精密レーダーとしてモノパイルとの距離を一定に保ちます。これにより、4ノットの潮流下でも洗掘防止工層からスプラッシュゾーンまで、寸分の狂いもない「垂直上昇点検」を完遂できます。

·   提供価値: 天候の合間のわずかな作業ウィンドウ内で、小型CTVを用いて点検を完了。現場動員・運用コストを半減させます。

 

 

事例3:FPSO(浮体式生産貯蔵揚油設備)船体検査 — 「ブラックボックス」時代の終了

·   課題: 全長300mに及ぶ特徴のない平坦なFPSO船底・船体部では、水中ドローンが位置を見失いやすく、点検の漏れや重複走査が発生していました。

·   ソリューション: 前方DVLが船体側面に沿った水中「走行軌跡」を生成し、下方DVLが船底平坦部のオドメーター(走行距離計)として機能します。システムが蛇行(スネーク)グリッド経路を生成し、100%の点検カバー率を保証します。

·   提供価値: 可視化された「確実な点検データ」により、検査に伴う操業停止時間を40%短縮。船舶オーナーのチャーター料損失を防ぎます。

 


結論:水中作業の新たなデファクトスタンダードへ

Oceanology International London 2026での実演が示す通り、海洋産業の関心は「単に潜ること」から「圧倒的な精度と効率性」へと移行しています。QYSEAはデュアルDVLとU-INS PLUS航法システムの初融合を通じて、従来は重装備を必要としたハイエンドな水中測位機能を、あらゆるオペレーターが手軽に扱えるポータブルな工具へと進化させました。

 

 

展示会は幕を閉じましたが、軽量かつ高精度な水中ドローン・ROVによる海洋点検の新時代は、今まさに始まったばかりです。